基礎力財団

基礎力財団とは

目的

この法人は、社会のあらゆる分野、人生のあらゆる段階において必要とされる基礎力の能力評価基準を策定し、個人が学習によって習得した能力をCEF(Common European Framework of Reference for Languages)やISO(International Organization for Standardization)などの国際的基準に合致した資格や検定によって測定し、広く社会の中で評価される仕組みを提供する。

目標の明示とその目標を達成した成功体験の歓びを社会全体で共有することによって、人々の持続的な学習意欲を喚起し、基礎力の向上によって社会の生産性を高め、国力向上の実現に寄与することを目的とする。

事業内容

  • 学習成果(基礎力)を適切に測定するための評価実施事業
  • 学習成果(基礎力)を適切に測定するための調査研究事業
  • 基礎力向上を促進するための講習会・セミナー等の開催
  • 基礎力を向上させるための助成振興事業
  • 基礎力に関する能力評価システムの開発
  • 基礎力向上に関する相談および指導
  • 前各号の実施の上で必要な出版物の刊行
  • 前各号に掲げるもののほか、この法人の目的を達成するために必要な事業

ミッション

  • 日本人の基礎学力の向上

    目標を明確化し、達成する喜びを学習者が享受し、その成功体験により能動的学習を促進する。

  • 入試社会からの脱却

    入試による学力評価により、学習者は一時集中的な学習習慣が一般的となっているが、検定による学力随時評価を定着させることで、学習者の継続的な学習習慣を実現する。

  • 日本の国力の向上

    学習者の基礎学力の向上を実現する過程で、反復的な目標達成意欲を喚起し、身体化させることで、能動的行動者を育成する。日本人全体の基礎力の向上により、社会の生産性を高め豊かな社会を実現する。

国際化に動き出した人材能力評価

国際的な人材流動化にともなって、適正な人材評価を国際的な統一基準で行う必要が高まってきた。特に欧州統合が拡大、深化するにつれ、競争力のある経済を育てるため、教育政策および職業訓練政策の重要性の認識が高まってきた。

EUの前身であるECは、当初、教育に関わる施策について権限を持たなかったため、職業訓練、及び経済発展に繋がる限定された分野での活動が中心であったが、その後マーストリヒト条約の第126条に文化、教育に関する事項が初めて加えられて、EUも初等・中等教育を含めた教育分野の活動に取り組むようになった。EC時代に策定された多くの教育・職業訓練プログラムは、EUの設立にともない再編集され、現在広く普及している。

欧州評議会は、個人や自国及び地域のアイデンティティを尊重しつつ、さらにヨーロッパ共通のヨーロピアン・アイデンティティを育むことが肝要だと考えがあり、その実現のためには、ヨーロッパにおける文化及び言語の多様性の受容を確立し、移民や外国人に対する偏見のない寛容な態度を培うことが必要であるとした。このような背景のもと、1954年に欧州文化条約が調印され、文化・教育分野での国際協力の基盤となった。

言語教育に関する具体的な活動が始まったのは、1961年、ヨーロッパ文部大臣会議において現代語教育の推進が決議されてからである。当時はエリートに限られていた語学学習を全ての人々に開かれた、国際コミュニケーションのために必要な学習へと転換した。以来、欧州評議会は、社会のニーズの変化に応じつつ、現代語学習・教育の促進に積極的に取り組んできた。欧州評議会の言語教育政策の目的は下記の5つである。

  • 複言語主義の促進
  • 言語の多様性のの促進
  • 相互理解の促進
  • 民主的市民の推進
  • 社会的結束の促進

1990年代半ばに入ると、ヨーロッパ統合の動きに合わせて、欧州評議会は、さまざまな既存の言語能力水準、及び言語学習・教育に関連するガイドラインを、一貫した枠組み(framework)として打ち出すことを考え始める。

1991年ヨーロッパ共通の言語能力を規定する枠組み設定案が、個人の言語学習を記録するポートフォリオとともに提案された。

1993年から1996年にレベル判定に用いる能力記述尺度(descripter)と言語学習を記録する European Language Portfolio (ELP) の原型が開発された。これが Comomon European Framework of Reference for Languages : learning, teaching and assessment (CEF) となった。

最新のCEFは2003年に公開されたものである。

このように30年の歳月を経て確立されてきたCEFは、ヨーロッパでの限定的な基準にとどまらずISOの世界的規格に昇格させようとの動きがある。また、CEFでの能力評価は言語分野に限定されているが、ISOでは人材のあらゆる能力評価への汎用が目論まれている。

中国政府が実施するHSKという中国語の能力判定試験は2010年にCEFに合致するようリニューアルされるなど、ヨーロッパ以外の国でも、この動きに同調する国レベルのプロジェクトがスタートしている。

基礎力財団は、今後制定されるISOの基準に準拠する、文教分野での能力評価を行う検定や資格を提供するのみならず、就業分野で活用される能力評価を行う検定や資格も開発、提供していく。